芸術とフランス語を愛するすべての人のためのコミュニティ、エコール・デ・アルティストがウェブサイトで発行する「ル・プティ・ジュルナル」で、私の針穴写真が取り上げられました。
針穴写真との出会い/アーティストになったきっかけ/3点の作品(の解説)/キャリア/私とフランス/インスピレーションの源/テクニック/クレイジーな夢/芸術の役割について、Q&Aの形で掲載されています。
(原文はフランス語です)
2024年11月19日号
フランス人とフランス語を話す日本人アーティスト: 針穴写真アーティスト:田所美惠子(東京)
Q. 針穴写真との最初の出会い
A. 針穴写真との最初の出会いは1989年、写真誕生150周年の年のことでした。ある写真展を観た後に通りかかったカルナヴァレ美術館の本屋で、イラン・ペーターソンのリュクサンブール公園の写真集が目に留まり、その本を家に持ち帰りました。その画像は美しいだけでなく、神秘的な要素も秘めていました。巻末には、各画像の露光時間に関する非常に興味深いデータが掲載されていましたが、それは通常の撮影には長すぎるように思えるものでした。私はようやく、これらの画像が針穴写真機で創られたものだと気づきました。その半年後、シャロン・スュール・ソーヌにあるニエプス美術館に立ち寄った際、針穴写真の夏期講習を知らせる貼り紙が目に入りました。私はついに探していたものを見つけたのです!
* カメラのレンズ代わりの小さくて繊細な穴
Q. アーティストになったきっかけ
A. 80年代後半にパリに住むことを決めたとき、私は従来のカメラを持つ写真家になろうと漠然と考えていました。針穴写真との偶然の出会いが、パリの写真家やアーティストたちとの接触をもたらしました。さらに、1990年代には、「パリ写真月間」のような写真関連の興味深いイベントが数多く開催され、私自身が写真家になる意欲を大いに掻き立てられました。
Q. 3点の作品について
* 「パーフォレーション エッフェル塔」(1993): キャリアをスタートさせたばかりの頃、ハンガリー博物館で開催されたカメラ・オブスキュラ展に参加するために、私はシンプルな金属製の箱で針穴写真機を作り、その中に35㎜のロールフィルムを箱のサイズに合わせてカットして仕掛けました。システムDの一例です!
* 「フアン・サンチェス・コターンにちなんだ静物写真」 (2001) : この16世紀の画家も、吊るしたキャベツが動かなくなるまで30分も待ったのでしょうか!
私の静物画シリーズは、カメラオブスクラも使われたであろうフランドル絵画からインスピレーションを得ています。
* 「本屋の『中世美術』とクリュニー博物館」 (1996) : 「ショーウィンドーあるいはパリのフラヌール」シリーズ。日曜の朝に撮ったこの写真はセレンディピティの一例で、パオロ・ウッチェッロの絵に描かれた槍と、クリュニー美術館の足場のパイプが呼応しています!
Q. キャリアについて
A. 私の写真は独学です。針穴写真の場合、カメラ作りから写真のプリントまで、撮影もフィルム現像も含めて「自家製」は可能ですし一般的です。必要な時に必要な写真を学んできました。
フランスのオルタナティヴ写真の同好会l'Association pour la Photographie Ancienne et ses techniquesに所属していたことが、プリントは撮影と同等もしくはより重要視すべきであるということを私に教えてくれたことも付け加えておきたいと思います。
Q. あなたとフランス
A. 日本のアテネ・フランセでフランス語を勉強し始めたのは20歳のときですが、パリ駐在の夫と一緒に住むために1990年にパリに引っ越すまで、上達は遅々として進みませんでした。私はそこに2008年までいました。私が強く影響を受けたのは、フランス人のDIYの才能と「システムD」でした。考えてみれば、非常に手作業的で初歩的な私のアートには不可欠なものでした。
Q. インスピレーションの源
A. 光と影、モノクロームの版画
Q. テクニック
A. 紅茶の缶を改造した私の針穴写真機には、フィルムが1枚しか入りません。外で何枚も撮影できるように、また道中の事故のリスクを避けるため、前日に20台ほどのカメラのそれぞれに1枚ずつフィルムを装填しておきます。ファインダーのない写真機は、撮る前に頭の中で構図を想像することを教えてくれたし、三脚なし(の撮影)によって被写界深度を強調するローアングルを採用することになりました。
ですから私のテクニックはいつもとてもシンプルです:
– マニュアル(手作業): カメラ作り、撮影、フィルム現像、引伸ばし
– マテリアル(物質的): フィルムと印画紙
– モノクローム:わたし的には、より美的でお金のかからないもの
つまり、3M(「マニュアル」、「マテリアル」、「モノクローム」)は私のトレードマーク!
Q. クレイジー・ドリーム
A. オーバーツーリズムと銀塩写真が希少な時代にあって、私は今、写真の源流に戻り、100年前に生産された古い印画紙で遊びたいと思います。
Q. 芸術の役割: 私にとってアートは、世界に住む人々の文化的・社会的多様性と、すべての人間に共通する基本的ニーズに対する認識を高めるのに役立つこと。
田所美惠子のオフィシャルサイト:https://www.miekotado.com
Perforation la Tour Eiffel (1993) 50 x 60 cm
Nature Morte d’après Juan Sanchez Cotán (2005) 28 x 35 cm
Vitrine ou Flâneuse de Paris LArt du Moyen Âge (1996) 30 x 40 cm
画像はEcole des Artistesのウェブサイトをご覧ください
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