
これまでにないほど暑い9月に開催された展覧会でしたが、10月1日に無事終了しました。会場には多くの方々に脚を運んでいただき、オリジナルプリントをじかにご覧いただいたことに心より感謝申し上げます。
今回展示した作品は2つのシリーズ「静物」と「ショーウィンドー」から選んだものです。
そのうちの野菜果物の静物は、8x10の改造カメラで撮影し、フィルムを密着プリントしたことで、針穴写真の画像の中でも最良の画像が得られています。
ショーウィンドーの撮影に使った手作りの缶カメラも会場内に展示し、私が最終的にこの缶カメラにたどり着いたいきさつとその利点を説明することで、被写体に合わせて手作りできる針穴カメラには、針穴写真の融通無碍な魅力があることを感じていただけたと思います。
来場者の滞廊時間は長く、作品を1点ずつ丁寧に鑑賞していただきました。
全般的な感想を伺うと「気持ち良い」「ほっとする」「ずっと見ていたい」など。
針穴写真特有の柔らかで穏やかな描写、時間をかけて受動的に採りこまれた光の軌跡、パンフォーカスの特徴でショーウィンドーの内と外の境目が消えて融合した、虚実ないまぜの映像など、人間の眼やレンズ付きのカメラとは異なる世界を映し出す、不思議な癒し効果を鑑賞者に届けられたのではないかと思います。
なお、展示後は永久保存されるオリジナルプリント52点とともに、撮影に使用した缶カメラ5点も日本カメラ財団に収蔵されることになったことを合わせてご報告します。
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