今回のJCIIフォトサロンでの個展は、1993年に数寄屋橋の富士フォトサロンで初めての針穴写真展『空き缶利用のレンズなしカメラがとらえたパリ』を開催してから、私にとって30年の節目の年の開催となります。
タイトルの『ふたつの静物』とは、野菜や果物の「静物」とパリのストリート・スティルライフともいえる、「ショーウィンドー」のことです。前者は17世紀にカメラ・オブスキュラを使用して描いていたとみられる静物画から着想を得た絵画的な写真です。後者はパンフォーカスに着目し、ショーウィンドーの内側のオブジェとガラスに映りこむ対面の建物を同一のピントで一つの画像にした作品で、写真が拠り所とする一点透視法を強く意識させるものです。
1カットの撮影に30分ほどかかる静物と、日曜午前限定の「シャッターチャンス」を三脚なしで撮影したショーウィンドー。どちらも手間暇と試行錯誤の末に手に入れたネガは、たとえ完璧なものでなくても愛おしく、それを自分の手でプリントすることは私にとって何事にも代えがたい喜びです。
なお、会期終了後には展示作品全52点が日本カメラ財団JCIIフォトサロンに収蔵されます。
この機会にオリジナルプリントを会場で是非ご覧ください。
詳細は下記のJCIIフォトサロンホームページをご参照ください。
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