2007年に上梓した『一葉に逢いたくて』(河出書房新社刊)に掲載されている私の針穴写真は、株式会社ポーラの協力を得て2006年から1年をかけて制作され、その後、被写体となった模型とともにポーラ ミュージアム アネックスで1か月にわたり展示されました。
被写体は檜細工師の三浦宏氏(1926-2019)が制作した、日本を代表する近代文学の女性作家、樋口一葉(1872-1896)の住居とその小説の舞台を、20分の一の縮尺で再現したものです。
著書の上梓から17年経った昨年、そこに掲載されている針穴写真のすべてが三浦宏氏の模型とともに、樋口一葉の両親の出身地がある山梨県立文学館に寄贈されました。
小さいながらも細部まで精巧に作られた空間と、まるで本物の家の中にいるかのように描き出す針穴写真のマジックで、樋口一葉が生きた明治の時代に来場者が想いをはせる一助となれば幸いです。

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