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ichiyo higuchi

​一葉に逢いたくて

ミニチュア長屋の作者は檜細工の三浦宏さん。初めて仕事場を訪問したときに見せてくださったのが、樋口一葉の小説『にごりえ』をテーマにした縮尺20分の1の建物でした。「店は二間間口の二階作り」という、小説の一行目のたったこれだけの描写を手がかりに、三浦さんは明治の人々の暮らしに思いを馳せながら、銘酒屋「菊の井」を普請してしまったのです。様々なお話をうかがううちに、三浦さんの一葉に対する想いと木へのこだわりが凝縮された世界を、今度は私が針穴写真で等身大に映し出してみたい、一葉にはもう会えないけれど、明治の女性たちが見ていた風景を再現できるかもしれない、と考えたのです。

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