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venice / veduta
ヴェネツィア
ヴェドゥータ
私がヴェネツィアを初めて旅したのは、パリで針穴写真と出会う直前の1980年代最後の夏でした。写真誕生150周年にあたるこの年、フランスでは写真の歴史に関する様々なイベントが催され、私はそこで偶然に針穴写真を知りました。カメラ・オブスクラと同じくらいアーカイックな光学装置で、カナレットの時代とほとんど変わらぬこの町の姿を捉えたいと、その後、幾度となくヴェネツィア詣でをするようになったのは極めて自然な成り行きでした。 あれから30年、ヴェネツィアを訪れる人々の国籍は世界経済の動向を反映して大きく様変わりしても、観光都市としてのこの町の賑わいは一向に陰りが見られません。21世紀に入ってさらにバージョンアップした光学装置のおかげで、スーベニアのVEDUTAは今や自撮りの背景になり世界中でシェアされています。それでも私は以前と変わらないやり方で、栄光の残滓が染みこんだ迷宮をさまよい、VEDUTAの記憶を小さな穴から拾い続けます。
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